旅のWEBカフェ WANDER TRAVELER


奮起湖(フエンチーフー)まぼろしの湖 (1)


 台鉄嘉儀駅前のバス停から奮起湖行のバスに乗って約2時間、途中霧が発生し、ほとん

ど視界がさえぎられる、「今日、奮起湖は見えないな」と思いつつ、バスが奮起湖に近づくと、

すっきりと霧が晴れてきた。

バスが奮起湖に着くと、帰りのバスの時刻を確認してから、まずは腹ごしらえ、鐡路餐廳で

「しし肉弁当」を食べる、台鉄弁当と比べて、彩り鮮やか、山猪の肉はしっとり、しなやかでコク

があり美味しい。「これが名物の奮起湖弁当か」としばしば感慨に耽る。


 鐵路餐廰「奮起湖駅」


  彩り鮮やかな「しし肉弁当」



 奮起湖駅周辺を散策して、さて奮起湖は何処?と地図を捜すが、どこにも湖はないことに

気付く。後で知ったことだが奮起湖という「湖」は存在せず、窪地が雲や霧に覆われた様子が

遠くから見ると、みずうみに見えることから奮起湖と名付けられたらしい。


   水のない湖

「仇分」を台湾のモンサンミッシェルと例える人がいる、なるほどと頷ける共通点があるが、

奮起湖老街が「南台湾の仇分」と例える人がいるが、仇分とは規模や雰囲気からして比較の

対象にはなり得ない。

ガイドブックや人の伝聞を鵜呑みにせず自身の眼で確認をすることが大切であろう。


閑散とした奮起湖老街、どこが「南台湾の仇分」なの?


 メインストリート


これが本当の、森林鉄道「奮起湖駅」


街を散策していると、奮起湖大飯店の前に「奮起湖弁当」の大きな看板が目に付く、「アレ、奮起湖で

食べる弁当が奮起湖弁当か?それとも奮起湖大飯店で食べる弁当のみが奮起湖弁当か?」しばし悩む。

次回、奮起湖に行った折には、奮起湖大飯店の奮起湖弁当を食べたいと思う。



奮起湖飯店



奮起湖大飯店の前の奮起湖弁当の看板



  これが奮起湖弁当の実物


奮起湖への行き方


台鉄嘉儀駅前のバス停→ 奮起湖               奮起湖      →台鉄嘉義駅前バス停    

   07:05   08:45                       11:10     11:45

   09:35   11:30                       15:10     16:50

   12:05   14:00                       17:00     18:40

   15:05   16:45

                                                   (現地要確認)




奮起湖森林遊歩道散策 (2)


阿里山観光の中継地として、乗り継ぎ時間を利用し奮起湖駅、奮起湖老街周辺を散策し、         
          
奮起湖弁当を食べるのが奮起湖観光だと思っている人が多いが、それでは、あまりにもモッタイナイ

日本の植民地時代、日本の本土に木材を供給するため、材木を運搬することを目的として、        
        
森林資源開発が行われた。奮起湖中心部から北側、南側に広大な森林地帯が拡がっている。 
        
日本のガイドブックには紹介されていないが素晴らしい森林があり、桟道が整備されていて快適に 
      
散策が楽しめる。

北側遊歩道には竹林、神社跡などがあり、展望台からは奮起湖集落が俯瞰できる。


竹林道

四方竹林

植民地時代の神社跡



この位置から見た風景が「仇分」に似ているらしい


南側遊歩道では百年老老街、百年楠木材、星空ロッジなどが見学できる。


百年老老街 昔ここに郵便局があった

百年楠木林

映画「星空」のロケに使われたロッジ


5月から6月は黒翅蛍、7月は三節燿蛍、11月から12月には鋸角雪蛍、そして2月から3月は神木蛍と、
     
それどれ生息地が違い1年を通してホタル観賞ができる。


奮起湖案内図

  

※ 地球の歩き方「台湾編」で「『南台湾の仇分』と呼ばれている老街があり・・・」との記載があるが、
「仇分」は原宿の竹下通りのような人込みで、片や「奮起湖老街」は閑散としている。
どのような共通点があるのか?地球の歩き方の編集者の方には説明をお願いしたい。

奮起湖北側遊歩道の展望台の脇に案内表示板があったが、展望台から眺める奮起湖集落の眺望が
どうも仇分の風景に似ているらしい。

「仇分の老街」と「奮起湖老街」には何の共通点もない事を強調しておきたい。

仇分に行ったこともなければ、奮起湖に行ったこともない編集者が何らかの資料をもとにガイドブックを
書いている、直接観察したわけでもないので当然トンチンカンな間違をする。
せめてガイドブックに一行の文章でも書くなら、「自分で当地に足を運び」、「自分の眼で観察して」、
「自分の責任のもとに」執筆をすべきだと考える。
歴史学の研究と同じようにガイドブックの記載記事は「実証的」であるべきだ。



                                                 (文・写真とも 坂本正通)