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悠久なるメコンの流れ


   悠々なる、穏やかなメコンの流れ



 はじめてルアンパバーンを訪れたのは、2009年、法政大学の小松光一先生に誘われてのことである。

フアイサーイを朝の9時5分に出発し、午後6時10分にルアンパバーンに到着した。約9時間のメコン川下りの旅であった。

メコン川は黄褐色に濁っており、けっして美しい水の色ではないが、流れはゆったり穏やかなものであった。

当時はルアンプラバンと呼ばれており、みんな貧しいのに、穏やかな顔つきをしている事に驚かされた。

ナイトマーケットでは、近隣の村々の手工芸品が販売されており、そのレベルの高さにも驚かされた。

それから、2019年までインドシナ半島を11回訪れ、ルアンパバーンには7回滞在している。

 雨期、乾期を問わず、メコン川の流れは穏やかである。ガンジス川の流れのような激しさもなく、

黄河のように荒々しく、時に氾濫をおこすこともない。

カンボジア、ベトナムでは地球温暖化の影響かメコン川の氾濫が報告されているが、

上流のラオスにおいてメコン川が氾濫したことは聞いたことがない。

毎年、ノーベル文学賞の時期になると、ノミネートもされていないのに、今年こそ受賞、今年は受賞と

「カラ騒ぎ」を繰り返している大衆流行作家が、メコン川を「山間を行く川の流れは荒々しく速く、

こんな川は今まで他のどこでも見たことがない。どこまでも茶色く不吉に濁っている。

プーシ―の丘から眺めると、蛇行しながら、緑の密林の間を流れているメコン川を見ることができる」と例えているが、

地球の歩き方、ラオス編でも紹介されているように、ルアンパバーンは山深く猫の額ほどの平地にあり、

山間もなければ、緑の密林も何処にも存在しないし、メコン川は直線的で、蛇行などしていない。

ここでキッパリと彼の妄想を否定しておきたい。


今も、私の前を流れるメコン川は、穏やかで「悠久の大地、メコンの恵み」を感じさせる川である。



 乾期なので河肌が見えている

 緩やかな流れで、激流など何処にもない

プーシの丘から眺めたメコン川、直線的で蛇行などしていない



                    (文・写真とも 坂本正通)