旅
昔はよかったとは、旅の話で、ヨーロッパでも一日1000円もあれば暮らせた。
もちろん、ホテル・ハイアットに泊まり高級レストランで食事する、そんな旅ではない。
ユースホステルや夜行列車に泊まり、スーパでパンとハムを買って公園で食べる、
いわゆる安宿に泊まることさえ贅沢に感じられるような旅である。
フランスがTGVを走らせ、スペイン、ドイツが高速鉄道を走らせた時から、ヨーロッパの国際鉄道網は分断された。
移動時間が短縮され、便利になったけれども、我々のような貧乏旅行者にとっては鉄道を使った勝手気儘な旅は
出来なくなった。
国が豊かになり生活に余裕が出来ると人は旅に出る。金はあっても旅のノウハウがないから、
勢い団体ツアー旅行となる。そして徐々に個人自由旅行に移行していく。
日本という国は不思議な国で縄文時代が8000年もの長い間続いたように、 未だに団体ツアー旅行を続けている。
「ロスへ行って来た」、「ニューヨークへ行った」、「パリーへ行った」とよく聞かれるが、「連れて行って貰った」と言うのが
正確な表現であろう。
確かに、「負んぶに抱っこの旅もよいではないか」と言う人もいるだろう、でも、各人それぞれの旅の興味は
違うはずだし、それに、いたずらに旅行代理店や旅行業者をボロ儲けさせるのも考え物だ。
自分で旅を考え、自分の足で街を歩いてこそ、旅ではないだろうか。
旅の価値がホテルやレストランのランクで決まるものではない。
そろそろ日本人も旅の中身を考え、自分の興味に即した「旅」をすべきだろう。
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